喫煙は単一の原因としては最大の健康阻害因子です。タバコの煙にはニコチン、一酸化炭素をはじめ、約4000種類以上の化学物質が含まれており、この内200種類以上が有害物質とされています。その中には約40種類の発がん物質も含まれ、これらがタバコ病と総称される様々な病気を引き起こします。
タバコが体に悪いことを知らない人はほとんどいないでしょう。では、なぜやめられないのでしょうか。
「タバコがやめられないのは、意志が弱いから・・・」ではありません。強い依存性を有するニコチンによる薬物中毒の状態になっているために、やめられないのです。このニコチン依存症という身体の病気を、禁煙補助薬できちんと治療し、心理的依存についても各人各様の解決法を一緒に考えることで、禁煙は誰にでも必ずできます。
これからも長期間喫煙を続けて、病気になってしまったあとでやめるか、将来の健康を考えて今すぐやめるかは、あなたの気持ちひとつです。
遅すぎる禁煙はありません。禁煙できれば、多くの病気のリスクから解放され、咳痰、息切れの改善や胃の調子が良くなるなど、体が健康に戻るのが実感できます。また、リラックスした精神、確かな自信、おいしい空気など、素晴らしい財産も手に入れることができます。
あなたがこれからも健康で、ずっと仕事を続けることができるように、また、あなたのより一層の健康を願っているご家族のためにも、喫煙の習慣をもう一度見直してみませんか。
宮城県医師会健康センターでは、保険診療でその方に応じた禁煙相談・禁煙治療を行っています。禁煙をお考えの方は、是非一度お気軽にご相談ください。
禁煙補助薬(ニコチンパッチ、または禁煙のための飲み薬)を使用し、その方に応じた禁煙治療を行っております。
喫煙の健康に及ぼす悪影響は、欧米で1960年代から科学的な事実として明らかにされてきました。現在喫煙はエイズとならぶ世界的な健康問題となっており、世界で毎年500万人、日本でも11万人以上がタバコのために死亡しているといわれています。
このためWHOは、喫煙は「予防しうる最大の死亡原因」として、タバコ対策を最優先課題として取り組むことを決議しました。WHOの主導で採択された「たばこ規制枠組条約」は、公衆衛生分野における世界初の多国間条約として、2005年2月に発効しました。この世界条約は世界中で喫煙者数やタバコの消費量を減らし、非喫煙者を受動喫煙の害から守ることを目指したもので、既に多くの国でタバコ会社による広告・スポンサーシップの禁止(制限)、タバコ包装の健康警告表示の強化のほか、タバコの価格の引き上げ、罰則付きの建物内禁煙法が制定されるなど、世界中でタバコ規制に関する強力な取り組みが始まっています。
以上のような状況を踏まえ、わが国でも受動喫煙の防止義務を定めた「健康増進法」が2003年5月に施行され,また日本医師会をはじめ多くの学会で「禁煙宣言」が提唱され、全国的にタバコ対策が進められるようになってきています。