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会長就任のご挨拶

宮城県医師会会長 安藤健二郎

 このたび,宮城県医師会の会長に就任いたしました安藤健二郎と申します。
 昭和61年東北大学医学部を卒業し,旧第二外科に入局,レーザー医学や内視鏡外科を研究していましたが,元々持っていたプライマリケアへの興味が年々強くなり,平成11年に仙台市太白区で診療所を開設しました。現在,県内3か所(仙台市,名取市,多賀城市)で同様の診療所を同志の先生方と運営しています。
 医師会活動を始めたきっかけは東日本大震災の経験と平成28年の熊本地震の際のJMAT宮城隊への参加でした。停電の夜の闇は本当に怖く,熊本から帰って,すぐに診療所用の緊急電源の研究を始めました。小型ソーラーパネルとマンガン系リチウム蓄電池を組み合わせた機器を東北大学未来科学技術共同研究センターの力を借りて開発し,停電下でも診療継続に必要な最低限の電力が得られるようになりました。それから10年,仙台市医師会役員(後半6年間は会長職)を務めてまいりました。災害関連では,既存の汎用緊急連絡メールシステムを逆利用した指定避難所情報一括収集システムを考案し,被災した際の避難所情報が受援側でしっかり把握できるように工夫をしました。
 新型コロナウイルスパンデミックにおいては,宮城チームの一員として感染予防・検査・治療のすべてに積極的に活動を展開しました。宮城県の要請をうけてドライブスルーPCR検査場を開設し,仙台市内外の発熱等有症状者を受け入れたり,このドライブスルー検査をさらに発展させて,インフルエンザ・コロナ抗原同時検査と薬剤処方を1ラインで行うオリジナルの方法を役員と一緒に考案し,年末年始の多くの医療機関が休診する期間に実施し,何とか持ちこたえることができました。
 県医師会長就任にあたり,最も重視していることは,各二次医療圏における地域医療の整備です。
 仙台医療圏は14市町村からなる圏内人口160万の巨大医療圏です。医療に関して仙台市と周辺市町村の連携が必ずしも良好とは言えない現状ですが,14市町村の医療を担当するのは6つの郡市医師会(仙台市医師会,亘理市医師会,岩沼市医師会,名取市医師会,宮城県塩釜医師会,黒川医師会)に限られますので,医師会サイドから連携のきっかけが作れれば,情勢は変えられると思っています。仙南医療圏,大崎・栗原医療圏,石巻・登米・気仙沼医療圏の3医療圏においてもそれぞれの医療課題があり,解決には郡市医師会,あらゆるレベルの病院,そして行政の協力が絶対欠かせません。県医師会が調整役となってしっかり取り組んでいきたいと考えています。まずは二次医療圏ごとの郡市医師会長会議を定期開催させていただくことから始めてまいります。
 少子高齢化が進むわが国において,とくに人口減少が激しく医師偏在が顕著な地域ではオンライン診療が今後必要になってきます。仙台市医師会は仙台市,仙台市薬剤師会,NTT東日本,東北大学工学部などと共同でD to P with N型オンライン診療の研究を続けてきました。患者側に看護師がついて診療補助や機器操作をするタイプのオンライン診療で,へき地や離島に適した方法として政府や日本医師会が勧めているものです。仙台市西部の山間地で基礎実験を重ねた後,現在は仙台市内での個人宅や介護施設への訪問診療に活用しています。昨年度は県行政に協力して気仙沼本吉地区での実証実験を行いました。今後,郡市医師会等の了解をいただければ,県内の適地を選定して順次広めていこうと考えております。
 このほかにも県内のがん検診を一層充実させることや,医療・介護情報の共有,県内の初期研修医への診療技術向上セミナーなど,取り組みたいことはたくさんあります。宮城県民の命と健康を守ることを常に念頭に置き,会員の先生方のご支援の下で一歩ずつ着実に歩みを進め,努力を積み重ねてまいりたく存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。

(令和8年7月記)

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